🌍🐾 世界の動物・昆虫ニュース — 2026.11.03
新種 2件 + 新知見 3件 = 計5件
🔬 新種発見 ― 2選
1.
「道の王」の名をもつ翼竜が、博物館の引き出しから ― 英国ケンブリッジ・グリーンサンドの頭骨を見直し、CTで脳まで再現した新属新種 Hintighernia edingerae
化石爬虫類(翼竜類・タペヤラ科)
英国(ケンブリッジ・グリーンサンド)
2026
📷 Pêgas et al. (2026) / Species New to Science より | ホロタイプ頭骨 CAMSM B54406 の写真と3Dモデル、脳の復元図
英国ケンブリッジ大学の博物館に収蔵されていた翼竜の頭骨の一部(標本番号 CAMSM B54406)が、新属新種 Hintighernia edingerae として記載された。産地は白亜紀の地層「ケンブリッジ・グリーンサンド」。この標本はこれまで Ornithostoma sedgwicki の仲間とされてきたが、側頭窓の縁の形や、後頭部のたくましい稜線などから、トサカをもつ翼竜タペヤラ科のなかでも中国に多い「シノプテルス亜科」の一員だと分かった。マイクロCTで脳のかたちも再現すると、ブラジルの Tapejara wellnhoferi によく似ていた。属名は古いブリトン語の「道」と「領主」を合わせた造語で、ブラジルの先住民の言葉で「道の主」を意味する Tapejara にならっている。種小名は古神経学の創始者ティリー・エディンガーに捧げられた。ヨーロッパはタペヤラ類の系統が早くから多様だった場所で、東アジアや南米の仲間の起点だった可能性があるという。ペガス氏らの論文は Zoological Journal of the Linnean Society 誌。
2.
ブラジルの洞窟にしかいない、希少な洞窟サソリの新種 Troglorhopalurus iuiu ― 「絶滅危惧」の評価も提案された
クモ形類(サソリ目・キョクトウサソリ科)
ブラジル東北部(バイーア州・イウイウ)
2026
📷 L.S. Carvalho, R.L. Ferreira / Species New to Science より | Troglorhopalurus 属の生きた個体。F〜H が新種 T. iuiu(成体メスと幼体)
ブラジル北東部の洞窟だけにすむサソリの Troglorhopalurus 属に、新種 Troglorhopalurus iuiu が加わった。標本は、バイーア州のイウイウ周辺の洞窟(Gruta do Sepultamento など)で採れた成体のメスと幼体。体のはかり方、甲らの粒状のでこぼこ、触肢や尾の隆起線のかたちなどで既知種と見分けられる。研究チームは、オスの精包(精子の入れもの)の半分を属として初めて詳しく記載した。分布が限られ、洞窟周辺の環境も悪化していることから、論文は新種を「絶滅危惧(Endangered)」と評価することを提案している。一方、近縁の T. lacrau は、洞窟の外でも見つかって分布が広がったため、「情報不足」から「軽度懸念」への見直しが検討されている。論文は Arthropoda 誌(カルヴァーリョ氏、フェレイラ氏ら)。
🧠 既知種の新たな発見・知見 ― 3選
3.
毒をもつファイアサラマンダーは、紫外線を当てると「光って」いた ― 皮膚の腺と毒の分泌液が、緑〜水色に光っていた
両生類(ファイアサラマンダー/有尾類)
スペイン・ドイツ(欧州)
生物蛍光
2026
📷 Bernat Burriel-Carranza/バルセロナ自然科学博物館 / ScienceDaily より | UV光の下で、腹側が緑〜水色に光るファイアサラマンダー
黒と黄色の派手な体で知られるヨーロッパの両生類、ファイアサラマンダー(Salamandra salamandra)が、紫外線を当てると緑や水色に光ることが分かった。バルセロナ自然科学博物館とドイツのマックス・プランク化学生態学研究所などのチームの報告で、光が強いのは黄色い腹側と体の脇。光の源は、皮膚の毒腺と、そこから出る毒の分泌液で、体から出たあとも24時間以上光り続けた。これは自分で光る「生物発光」ではなく、紫外線などを受けて光る「生物蛍光」にあたる。光る理由はまだ不明で、暗い森で仲間を見分ける合図に使う説や、警告色を強める説が考えられている。光る物質の正体も特定されておらず、チームが調べている。人間の目には紫外線ランプがなければ見えないが、月明かりには紫外線や紫が多く含まれ、夜に見えている可能性もあるという。論文は Royal Society Open Science 誌。
🔗 https://www.sciencedaily.com/releases/2026/10/261027063707.htm
4.
子ネコのころから脚が長い「ガリー」と「シャギー」の兄弟 ― 飼いネコで初めて、ヒトの「マルファン症候群」と同じ遺伝子の変異が見つかった
哺乳類(イエネコ/ネコ科)
米国(コーネル大学)
遺伝学・遺伝性疾患
2026
📷 Nicole Desmond / ScienceDaily より | 兄弟ネコのシャギー(左)とガリー
米コーネル大学の獣医学部の研究チームが、手足が不自然に長く、目や大動脈にも異常があった2匹の兄弟ネコ(ガリーとシャギー)を調べた。ヒトの「マルファン症候群」と同じ、結合組織をつくるたんぱく質フィブリリン1の遺伝子 FBN1 に異常があった。2匹とも、父母から受け継いだ2つのコピーの両方に変異があり、スプライシング(遺伝子の情報の切り貼り)がうまくいかなくなる型だった。ただし、遺伝子が完全に壊れたわけではなく、正常なたんぱく質もある程度はつくられていた。このため成猫まで育てたと考えられている。ヒトのマルファン症候群は、普通は片方のコピーの変異で起こるため、直接の比較には限界がある。また調べたのは2匹だけで、ネコでどのくらい多い病気なのかは分かっていない。診断や遺伝子検査への応用は今後の課題という。論文は Scientific Reports 誌(2026年10月14日)。
🔗 https://www.sciencedaily.com/releases/2026/10/261013015801.htm
5.
北アフリカのエジプトで、約1700万年前の「類人猿」の下あごが見つかった ― 現生の類人猿の祖先は、北アフリカや中東にいたのかもしれない
哺乳類(霊長類・類人猿/化石)
エジプト(ワディ・モグラ)
起源・進化
2026
📷 復元図:Mauricio Antón(提供:Hesham Sallam 教授)/ ScienceDaily より | Masripithecus moghraensis の復元図
エジプト北部のワディ・モグラで、前期中新世(約1700万〜1800万年前)の類人猿の下あごが見つかり、新属新種 Masripithecus moghraensis として記載された。「マスル」はエジプトのアラビア語名で、北アフリカで見つかった確かな化石類人猿としては初めてだという。あごは頑丈で、犬歯と小臼歯が大きく、臼歯の表面は丸くてでこぼこしていた。主に果実を食べ、必要なときは木の実や種のような硬いものも食べられたとみられる。化石の年代や、現生の類人猿のゲノムなどを組み合わせて解析すると、東アフリカの前期中新世の類人猿より、現生の類人猿に近い位置に入った。現生の類人猿(ヒトを含む)の共通祖先は、約2300万〜1600万年前に北アフリカか中東にいた可能性が高いという。ただし、見つかったのは下あごの一部だけで、体の大きさや動き方は分からず、ヒトの直接の祖先と主張するものでもない。米南カリフォルニア大学とエジプトのマンスーラ大学の共同研究で、論文は Science 誌に載った。
🔗 https://www.sciencedaily.com/releases/2026/10/261031011638.htm
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