🌍🐾 世界の動物・昆虫ニュース — 2026.11.02
新種 2件 + 新知見 3件 = 計5件
🔬 新種発見 ― 2選
1.
ニューギニアの谷から、約100年ぶりの新しい「ペロリクテス」 ― 博物館の標本を7年かけて見直して見つかったバンディクートの新種 Peroryctes trigonodon
哺乳類(有袋類・バンディクート類)
インドネシア・パプア州(西バリエム谷)
2026
📷 Wikimedia Commons(CC BY 4.0) | Commons に新種名で掲載されている図(作者不明)
ニューギニア島の西部、インドネシア・パプア州のバリエム谷(クウィヤワギ)から、有袋類のバンディクートの新種 Peroryctes trigonodon が記載された。ペロリクテス属は P. raffrayanus と P. broadbentii の2種だけで、新種はこの属で約100年ぶり、3種目にあたる。決め手はオーストラリア博物館に収蔵されていた約20年前の標本で、西オーストラリア博物館のケニー・トラヴイヨン博士らが7年がかりで見直した。DNAは劣化していて解析できず、形態の計測と比較で既知の2種と区別されたという。確認されているのは谷のごく一部だけで、生息地の乱れに弱い可能性があり、生態はほとんど分かっていない。論文は Records of the Australian Museum 誌(78巻1号)。
2.
北海道の白亜紀の地層から、塔のように巻いたアンモナイトの新属新種 Heterocarinella japonica ― 「とっくに絶滅した」とされた仲間が、日本で生き延びていた
化石軟体動物(アンモナイト類・トゥリリテス科)
北海道・羽幌地域/古丹別地域
2026
📷 Aiba (2026) / Species New to Science より | ホロタイプ標本(各方向からの写真とCT画像)
北海道北部の羽幌・古丹別地域に分布する蝦夷層群(上部白亜系のサントニアン階、約8600万年前ごろ)から、アンモナイトの新属新種 Heterocarinella japonica が記載された。殻は最後まで塔のように巻き、側面の中ほどかそれより下に「キール(竜骨)」と呼ばれる連続した隆起が走る。体管が側面の上の縁に近いことも特徴だ。トゥリリテス科は、これまで中期アルビアン期から後期セノマニアン期までしか知られていなかったが、この発見でサントニアン期まで生き延びていたことが分かった。海の酸素が乏しくなった事変(OAE-2)を越えたあと、分布が少しずつ狭まり、最後は北西太平洋だけに残ったとみられる。ヨーロッパの Tridenticeras も、この科に入れ直された。論文は Paleontological Research 誌(相場氏)。
🧠 既知種の新たな発見・知見 ― 3選
3.
人なつこいキツネの脳では、「攻撃性の回路」の神経細胞が減っていた ― 70年近く続くシベリアの育種実験を、視床下部で調べ直す
哺乳類(ギンギツネ/イヌ科)
ロシア・シベリア(育種実験)
家畜化・脳の変化
2026
📷 Cornell Chronicle(コーネル大学)より | 人になれた「なつっこい」ギンギツネ
1950年代の終わりにシベリアで始まった、人になつくキツネだけを選んで交配する実験。そのキツネの脳を、米コーネル大学のエイレネ・マルケンショフ=パパディミトリウ博士らが調べた。見たのは、攻撃性や、エネルギーの使い方の判断、母性・社会行動に関わるとされる視床下部の腹内側核。「人なつこい」「攻撃的」「野生」のキツネ各3頭の脳を比べると、人なつこいキツネでは、エストロゲン受容体αをもつ神経細胞が少なかった。攻撃性の回路を構成する細胞だ。選ぶ世代を重ねると、人になれるだけでなく垂れ耳や短い鼻といった家畜化の特徴も現れた。ただし調べた脳は計9頭と少なく、なぜこの領域が変わるのかは今後の課題で、ゲノムの変異との関係も調べるという。論文は Current Biology 誌(2026年11月2日)。
🔗 https://news.cornell.edu/stories/2026/11/wild-mild-friendly-foxes-show-changes-brain-region
4.
鳥はなぜ、着陸の直前に「スピードを上げて」から減速するのか ― 翼を動かさずに、止まる一瞬に足から降りるための物理
鳥類(ハト大の鳥・猛禽類)
英国(マンチェスター大学)
飛行力学・着陸
2026
📷 Wikimedia Commons | ※イメージ:研究の背景にあるハリスホーク Parabuteo unicinctus(論文は数理モデル)
木の枝や地面に降りる鳥は、まず急降下して速度を上げ、それから翼で急ブレーキをかけるように見える。英マンチェスター大学のベン・パースルー博士らは、翼を羽ばたかせずに滑空するだけで着地する場合の最適な飛び方を、数理モデルで計算した。理論上は、着地の瞬間に速度をゼロにすることもできる。ただしハトくらいの鳥だと、ふだんの巡航速度の2倍以上で始め、水平に約60m進み、約20m上昇する必要があった。実際の鳥は限られた空間で降りるため、羽ばたきで減速を助けているのだろう。地面に降りる鳥は着地の衝撃を脚と翼で受け止めるので、丈夫な脚と骨が有利になるが、重くなって飛行性能が落ちるという綱引きも、進化を形づくった可能性がある。論文は Proceedings of the Royal Society A 誌。
🔗 https://www.manchester.ac.uk/about/news/why-birds-speed-up-to-slow-down-the-physics-of-landing
5.
街の鳥は、男性より女性のほうを先に怖がって逃げた ― 欧州5か国・37種・2,701回の観察、理由はまだ分かっていない
鳥類(シジュウカラ・スズメ・ハトなど37種)
チェコ・フランス・ドイツ・ポーランド・スペイン
都市の鳥・逃走行動
2026
📷 Shutterstock / ScienceDaily より | 街でハトに餌をやる人(イメージ)
街にすむ鳥に人が近づくとき、どこまで寄れば飛び立つか(逃走開始距離)を、欧州5か国で測った。のべ2,701回の観察で、鳥は女性が近づくと、男性のときより早く飛び立ち、男性は女性より約1m近くまで寄れた。傾向は調べた37種のすべてで見られ、シジュウカラ、スズメ、クロウタドリ、カササギ、ハトなどが含まれる。フェデリコ・モレッリ氏らの研究で、なぜ女性のほうが怖がられるのかは分かっていない。においや体つき、歩き方などの仮説があるが、どれも推測の段階だ。鳥を驚かせない調査や、人と鳥が共存する街づくりを考えるときに、性別という要因も無視できないことを示す。論文は People and Nature 誌。
🔗 https://www.sciencedaily.com/releases/2026/10/261021231250.htm
毎朝8時配信

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