🌍🐾 世界の動物・昆虫ニュース — 2026.11.01

🌍🐾 世界の動物・昆虫ニュース — 2026.11.01

新種 2件 + 新知見 3件 = 計5件


🔬 新種発見 ― 2選

1.

星をちりばめたような白い斑点 ― タイ南部の石灰岩の丘から、ヤモリの新種 Gehyra astrosyzygia。「別の希少種」と間違われ続けていた

爬虫類(ヤモリ科・ヤモリ類 Gehyra 属)
タイ南部・ラノーン県ほか/ミャンマー・タニンダーリ地域
2026

ヤモリの新種 Gehyra astrosyzygia の生体写真

📷 Sumontha et al. (2026) / Species New to Science より | 新種 Gehyra astrosyzygia:黄褐色の背に白い丸斑が並ぶ

タイ南部ラノーン県のプラ・カヤン洞窟を基準産地として、石灰岩の丘にすむ「四つ爪」のヤモリの新種 Gehyra astrosyzygia が記載された。最大で頭胴長56.9mm。黄褐色の背中に、黒い斑や帯を持たない大きな白い丸斑が縦に4列並ぶ独特の模様が目印で、雄は大腿の全長にわたって39〜41個の前肛大腿孔が連なる。チュムポーン、ペッチャブリー、プラチュワップキーリーカン各県の石灰岩地帯と、隣のミャンマー・タニンダーリ地域からも確認された。これまで市民科学のサイトでは、タイ南東部だけに分布する希少な Gehyra angusticaudata と取り違えられていたという。頭骨の骨学的な記載も加え、後者の新しい標本と産地も報告している。論文は Zootaxa 誌(5897巻2号)。

🔗 https://doi.org/10.11646/zootaxa.5897.2.2

2.

5億2000万年前の海に、三葉虫の「いとこ」がもう1種 ― 中国・澄江生物群から、棘だらけの節足動物 Dianhaia heptacantha。CTで触角と13対の脚まで見えた

化石節足動物(アルティオポダ類・ヘルメティア目)
中国・雲南省(澄江生物群)
2026

新属新種の化石節足動物 Dianhaia heptacantha のホロタイプ標本

📷 Zhu et al. (2026) / Species New to Science より | ホロタイプ標本(岩に残った全身の化石)

中国・雲南省の澄江生物群(カンブリア紀前期、約5億2000万年前)から、三葉虫に近い節足動物の新属新種 Dianhaia heptacantha が記載された。属するヘルメティア目はこれまで世界で7属8種しか知られず、産地もカナダのバージェス頁岩と澄江だけだった。半円形の頭部の両側に短い棘が1対、胸部は7つの節で、それぞれから長い棘が横に伸び、尾部にも棘が並ぶ。属名の「heptacantha」は「7本の棘」の意味。マイクロCTによって、1対の触角と、13対の二枝型の脚がはっきり見えた。脚は付け根に噛む突起(顎基)をもち、外側の枝にはえらの薄板が並んでいた。系統解析では、近縁の Haifengella の姉妹群と位置づけられた。論文は Journal of Paleontology 誌。

🔗 https://doi.org/10.1017/jpa.2026.10257

🧠 既知種の新たな発見・知見 ― 3選

3.

チョルノービリの野良犬たちのゲノムに、「選択」の痕跡かもしれない領域 ― 原発の犬は町の犬と別の集団で、DNA修復やがん関連の遺伝子が目立った

哺乳類(イヌ)
ウクライナ・チョルノービリ原発周辺
ゲノム・環境適応
2026

チョルノービリ原発の近くに立つイヌ

📷 Shutterstock / Earth.com より | チョルノービリ原発の近くで暮らす、野良犬の1頭

1986年の事故で住民が置き去りにしたペットの子孫とされる、チョルノービリ立入禁止区域の野良犬のゲノムを、米ノースカロライナ州立大学のマット・ブリーン教授らが調べた。2018〜19年に採血した106頭から、近縁個体などを除いて原発の犬33頭と、約16km離れたチョルノービリ市街の犬30頭を比べた結果、両者は遺伝的に別の集団で、原発の犬は事故のころから数が減り始めたとみられる。それでも遺伝的な多様性は保たれていた。約480万か所の変異を調べると、原発の犬では1,138か所が目立ち、近くに247個の遺伝子があった。DNAの複製・修復、細胞死の制御、免疫、そしてメラノーマなどのがんに関わるものが多い。ただし、これが「選択」だと断定はできず、犬の健康も被ばく量も測っていない。研究者は、もともとの遺伝的多様性のおかげで生き残った可能性も挙げる。論文は Genes 誌(2026年)。

🔗 https://www.mdpi.com/2073-4425/17/10/1195

4.

「絶滅したと思われた」バンカスローロリスは、庭のフェンスにはさまっていた ― 約90年ぶりの確かな記録と、保護施設の10年分のデータ

哺乳類(霊長類・ロリス科)
インドネシア・バンカ島
再発見・保全
2026

保護された後、森に放されるバンカスローロリス

📷 Andre Septian / Alobi Wildlife Rescue Center | 森に放されるバンカスローロリス

インドネシアのバンカ島だけにいて、1937年の記録を最後に「おそらく絶滅」とされてきたバンカスローロリス(Nycticebus bangka)。2025年7月、島のパンカルピナンの庭のフェンスに挟まった1頭が保護され、ウィーンのハウス・デス・メーレス動物園のティモン・グラウ氏らが過去の記録を洗い直した。保護施設アロビは2015〜2025年に90頭以上を保護しており、症例が分かる43頭のうち16頭は家や庭に入り込んだもの、7頭は感電によるやけど、5頭はペット取引由来だった。86頭は島の7か所の森に放されている。ただし野生の個体数は不明で、これまでDNA解析に使われた個体もなく、同定は毛色や顔のマスク、歯の特徴による。2000〜2012年に森の62%が失われた島で、著者らは島内外の調査と、IUCNによる「おそらく絶滅」の評価の見直しを求める。論文は Spixiana 誌(2026年10月)。

🔗 https://www.rewild.org/press/bangka-slow-loris-rediscovered

5.

サンゴを食べ荒らすオニヒトデが、サンゴ礁を「助けて」いるかもしれない ― かじられても、生きた組織の約75%が残っていた

棘皮動物(ヒトデ類)/刺胞動物(サンゴ)
オーストラリア・グレートバリアリーフ(ワン・ツリー島)
生態系・捕食の役割
2026

サンゴの上のオニヒトデ

📷 Shutterstock / ScienceDaily(シドニー大学)より | サンゴを食べるオニヒトデ(イメージ)

サンゴを大量に食べ、1960年代以降グレートバリアリーフで4回の大発生(約15年おき)を起こしてきたオニヒトデ。ところがシドニー大学のショーナ・フー博士らが、ワン・ツリー島の保護区(魚が多く、オニヒトデが少ない場所)で、食べられたサンゴを調べると、約75%の食事で生きた組織が残っていた。オニヒトデは1回の食事でほぼ一定の量を食べて立ち去り、群体を丸ごとは壊さない。しかも、再生したのは成長が遅い Montipora や Porites が中心で、成長の速い Acropora(ミドリイシ類)の残りは再生しなかった。数が少ないうちは、優占種を抑えて他のサンゴの居場所をつくり、多様性を高める可能性がある。大発生を放置してよいわけではなく、駆除は「完全に取り除く」ことを目標にせず、天敵を守る管理と組み合わせるべきだと研究者は言う。論文は Ecology and Evolution 誌。

🔗 https://www.sciencedaily.com/releases/2026/10/261030002957.htm

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