🌍🐾 世界の動物・昆虫ニュース — 2026.10.28
新種 2件 + 新知見 3件 = 計5件
🔬 新種発見 ― 2選
1.
「沼地のハドロサウルス類」と名づけられた草食恐竜 ― 英国南部の粘土層から、白亜紀前期の鳥脚類 Paludohadros proudlovii
恐竜(イグアノドン類・ハドロサウルス上科)
英国南部・スモークジャックス煉瓦工場(ウィールド粘土層)
2026
📷 Sacamoto et al. 2026 / Novataxa より(復元画:Guilherme Gehr) | Paludohadros proudlovii の復元画
イングランド南部のスモークジャックス煉瓦工場に露出する、白亜紀前期バレミアン期(約1億2900万〜1億2500万年前)のウィールド粘土層から、草食恐竜の新属新種Paludohadros proudloviiが記載された。初期に分かれたハドロサウルス上科(いわゆるカモハシ竜の遠い祖先筋)で、歯の内側面にある隆起の数、顎の骨(上角骨)の突起、坐骨や脛骨の形など、複数の特徴で見分けられる。ウィールド層群のイグアノドン類はこれまで、より古いバランギニアン期のBarilium・Hypselospinus・Kukufeldiaだけが知られていた。バレミアン期のウィールド粘土層から報告された有効な種は本種が初めてで、同時代のワイト島の恐竜群とは別の顔ぶれであることから、二つの地層の堆積した時期にわずかな差がある可能性も浮かんだ。論文はJournal of Systematic Palaeontology誌(DOI: 10.1080/14772019.2026.2726221)。
2.
オスは金属光沢の灰褐色、メスは象牙色にY字の縞 ― 福建省・木蘭渓から、吸盤のあるドジョウの新種 Pseudogastromyzon putienensis
魚類(ヒラタドジョウ科・吸腹鰍の仲間)
中国・福建省(木蘭渓水系)
2025
📷 Chen & Li 2025 / Novataxa より | 生時の体色(雄の成魚と幼魚)
中国・福建省の木蘭渓(莆田市)の水系で採集された流水性のドジョウの新種Pseudogastromyzon putienensisが記載された。この仲間は胸びれと腹びれが大きく広がり、急流の石にへばりつく暮らしをする。本種はオスとメスで見た目がまるで違い、オスは金属光沢のある灰褐色で淡い横帯と背びれの大きな斑点の列をもち、メスは象牙色の地にY字や曲がった縞が入って、ひれは透明で縞の列がある。模式標本のオスは標準体長66.7mm。近縁のP. fasciatusと比較され、側線の鱗数(65〜71)や脊椎骨数(38〜39)などの違いが示された。論文はZootaxa誌5738巻(DOI: 10.11646/zootaxa.5738.1.22)。
🔗 https://novataxa.blogspot.com/2026/10/pseudogastromyzon.html
🧠 既知種の新たな発見・知見 ― 3選
3.
メスのボノボは、サルもレイヨウも狩っていた ― 10年・415回の捕獲記録が示した「狩りは女の仕事」、群れごとに違う「狩りの文化」
哺乳類(ボノボ)
コンゴ民主共和国・ルイコタレ
狩猟行動・性差
2026
📷 Victor Ammann / Phys.org より | アカコロブスの肉を分け合うメスのボノボ
ボノボはこれまで「あまり狩りをしない類人猿」と見られてきたが、マックス・プランク動物行動研究所などのチームが、コンゴ民主共和国のルイコタレで2つのボノボの群れを10年にわたり追い、狩りの主役がメスだと突き止めた。誰が狩ったか特定できた415回の捕獲のうち、狩り手がメスだったのは60%。子連れかどうかに関係なく狩りをし、樹上で反撃してくるアカコロブスなど最も危険な獲物は、オスとメスが同じ割合で捕っていた。年長のメスは森のレイヨウのような大型の地上獣を、オスの約3倍の頻度で仕留めた。研究者らは、メスが獲物の所有を握るほど地位が高いことが成功の鍵だとみる。さらに隣り合う2群で獲物が違い(片方は地上性の哺乳類中心、もう片方はサル狩りに特化)、狩りが地域の伝統として受け継がれる可能性も示された。論文はCurrent Biology誌(DOI: 10.1016/j.cub.2026.09.082)。
🔗 https://phys.org/news/2026-10-bonobo-females-males-decade-reveals.html
4.
アリの大繁栄の裏に「ジャンピング遺伝子」― 小惑星衝突の直後に活動が急増し、においの受容体の遺伝子も増えていた
昆虫(アリ科)
ドイツ・ミュンスター大学ほか国際チーム
ゲノム進化
2026
📷 Wikimedia Commons | ※イメージ:ハキリアリ(アリ類の一例)
アリは世界に1万5000種以上が知られる、社会性昆虫で最大の科だ。ミュンスター大学のルーカス・シュレーダー博士らの国際チームは、アリ163種(現生16亜科のうち12亜科)のゲノムを比べ、トランスポゾン(ゲノム内を動き回って自分のコピーをふやす「ジャンピング遺伝子」)の量が多い系統ほど、現在の種数も多いことを見いだした。しかも、いくつもの主要系統で約6600万年前の古第三紀の初めにそれぞれ別々にジャンピング遺伝子の活動が急増しており、それが各系統の種数が一気に膨らむ前に起きていた。これは小惑星の衝突で環境が激変した時期と重なる。さらに、においを感じる「嗅覚受容体」など化学的なコミュニケーションの遺伝子ファミリーの拡大とも結びついていた。ジャンピング遺伝子は霊長類やコウモリの種分化にも関わるとされ、「ゲノムの寄生者」とされてきた配列が進化の触媒だったことを示す。論文はScience Advances誌(DOI: 10.1126/sciadv.aee0306)。
🔗 https://www.sciencedaily.com/releases/2026/10/261026225608.htm
5.
ベタの家族は、子どもが残って「縄張りの警備」を手伝っていた ― 魚類では初めて見つかった「協同繁殖の入り口」
魚類(ベタの仲間 Betta brownorum)
東南アジア原産・飼育下の実験
協同繁殖・家族行動
2026
📷 Wikimedia Commons | ※イメージ:同属種 Betta splendens(泡巣をつくるオス)
親以外の個体が子育てを手伝う「協同繁殖」は、哺乳類や鳥類で知られ、魚類ではタンガニイカ湖のシクリッド約30種だけが知られていた。東南アジア原産の淡水魚Betta brownorumは家族で暮らし、縄張りに入る他種を攻撃するという観察だけがあった。研究チームは水槽に別の魚を入れる実験をして、親だけでなく親元に残った子(従属個体)もよく侵入者を攻撃することを確かめた。従属個体を一時的に取り除くと親の攻撃回数が増え、戻すと減ったので、子が親の警備の負担を肩代わりしているといえる。親オスが不在の間、子が泡巣にとどまる場面も1度見られた。ただし卵や稚魚の世話は観察されず、完全な協同繁殖とは言い切れない。研究チームは「協同繁殖の初期段階」とみており、似た中間型は鳥類や爬虫類では報告があるが、魚類では初めてだという。論文はBehavioral Ecology and Sociobiology誌(DOI: 10.1007/s00265-026-03813-6)。
🔗 https://phys.org/news/2026-10-cooperation-fish-reveals-social-complexity.html
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