🌍🐾 世界の動物・昆虫ニュース — 2026.10.11
新種 2件 + 新知見 3件 = 計5件
🔬 新種発見 ― 2選
1.
白亜紀末の小さな恐竜は、果物を食べていた? ― 米国ヒルクリーク層から新属新種 Infernogallus jamesi
恐竜(オヴィラプトロサウルス類・カエナグナトゥス科)
米国モンタナ州ほか・ヒルクリーク層
2026
📷 Funston et al. 2026 / Novataxa より | Infernogallus jamesi の骨格化石
白亜紀末(マーストリヒト期)のヒルクリーク層から、小型の恐竜Infernogallus jamesiが新属新種として記載された。属名は「地獄(Inferno)」と「ニワトリ(gallus)」にちなむ。カエナグナトゥス科として初めて、ほぼ完全で関節がつながった頭骨が見つかったのが大きい。顎を閉じる筋肉の配置が、非鳥類型の獣脚類としては例のない形に変わっており、同じ配置は果実食のオウムでも独立に生じている。顎の骨にも、やわらかい食べ物をすりつぶす溝と隆起があった。研究チームは、この仲間が肉質の被子植物の果実を主食にしていた可能性が高いとみる。ただし、恐竜が果実の多様化に果たした役割までは、まだ分かっていない。論文はNature Communications誌に掲載された。
2.
中国から、ハエトリグモの新種が3つ ― Pancorius の仲間 P. subyingjiang・P. yangming・P. yunnan
クモ類(ハエトリグモ科)
中国南部
2026
📷 Zhou, Wang & Peng 2026 / Novataxa より | Pancorius yangming の標本写真
ハエトリグモ科のPancorius属から、中国で3つの新種が記載された。名前はP. subyingjiang(メスのみ)、P. yangming(オスとメス)、P. yunnan(メスのみ)。論文には、体の各部と交尾器の写真、詳しい記載、分布図がそろっている。P. yangmingではオスとメスの両方がそろったため、種の同定に使われるDNAバーコード(COI遺伝子)の配列も公開された。ハエトリグモは、目が大きく、獲物に飛びかかって捕まえるクモだ。中国南部の山地には、まだ名前のない小さなクモが多く残っていることを示す報告である。論文はZootaxa誌に掲載された。
🧠 既知種の新たな発見・知見 ― 3選
3.
イカの皮膚は、「ヒトの内耳」に似た毛でおおわれていた ― 水の動きを感じる側線の地図が初めて描かれた
頭足類(ロングフィン・インショアスクイッド)
感覚器・体表の構造
2026
📷 ScienceAlert 掲載画像 | イカの体表に並ぶ「毛束」(側線)を可視化した画像
米国東岸にすむDoryteuthis pealeii(ロングフィン・インショアスクイッド)の皮膚は、水の動きを感じる「毛束(ヘアバンドル)」でおおわれていた。この毛は、ヒトの内耳で音や揺れを感じる有毛細胞とよく似ている。光シート顕微鏡と走査型電子顕微鏡で、孵化したばかりのイカの体表を調べると、毛束は一列に並ぶ線状の配列と、広がりをもつ領域(「側線野」)の2つのパターンで見つかった。胴体の毛束は、頭部の側線の毛束よりずっと短く、場所によって感じ取る水流が違う可能性がある。研究したケース・ウェスタン・リザーブ大学のブライアン・マクダーモット氏は、聴力低下の仕組みを探るモデルにもなりうると話す。論文はCurrent Biology誌に掲載された。
4.
チョウの目は、受容細胞が「8個ではなく9個」― たった1個増えても、脳の配線は自然につながった
昆虫(チョウ類)
視覚の進化・発生
2026
📷 Earth.com 掲載画像 | チョウの複眼と色覚の進化
ショウジョウバエの複眼の1ユニットには、光を感じる細胞が8個ある。ところがチョウでは9個あり、増えた1個のおかげで青や紫外線を含む光を、より細かく見分けられるとされる。カリフォルニア大学サンディエゴ校のマイケル・ペリー教授らは、発達中のヒメアカタテハ(Vanessa cardui)の網膜16個を調べ、遺伝子Lozengeの働きがカギだと突き止めた。さらに、ハエでLozengeと「Notch」という細胞間シグナルを操作し、9個の細胞をもつ「チョウ化したハエ」をつくった。この細胞は、脳の中にもともと余っていた神経細胞とつながり、新しい脳の遺伝子変化は必要なかった。ただし、ハエの色の見え方が実際に増えたかや、チョウが本当にこの道筋で進化したかは、まだ確かめられていない。論文はScience Advances誌に掲載された。
🔗 https://www.earth.com/animals/butterfly-color-vision-reveals-a-surprising-shortcut-in-evolution/
5.
アリゾナの洞窟のコウモリは、2,100年前に死んだ仲間と「同じ母系DNA」を持っていた ― マダラコウモリ121頭の遺伝子地図
哺乳類(コウモリ類・マダラコウモリ)
北米西部(アリゾナ州ほか)
2026
📷 Earth.com 掲載画像 | マダラコウモリ Euderma maculatum
北米西部にすむマダラコウモリ(Euderma maculatum)は、数が少なく、ほとんど調べられてこなかった。ノーザンアリゾナ大学のフェイス・ウォーカー氏らは、カナダのブリティッシュコロンビア州からメキシコ中部までの121頭のDNAを調べた。アリゾナ北部の洞窟では、年代が120〜2,100年前と測られた死骸6頭のうち5頭が、いま洞窟にすむ個体にも多い母系DNAのタイプをもっていた。つまりこの洞窟は、2,000年以上にわたって同じ母系の集団に使われてきた可能性がある。地域差も大きく、中部では101頭に26タイプがあったのに、北部は11頭に2タイプだけ。氷河期のあとに北へ広がったためと考えられている。論文はPLOS One誌に掲載された。
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