🌍🐾 世界の動物・昆虫ニュース — 2026.07.28

🌍🐾 世界の動物・昆虫ニュース — 2026.07.28

新種 2件 + 新知見 3件 = 計5件


🔬 新種発見 ― 2選

1.

チベット秘境メドクで「新属+99新種」の甲虫を一挙記載 ― 677ページの特別巻に結実

甲虫・複数の科
中国・チベット高原(メドク県)
2026年7月

近縁のノミハムシ Altica 属

Photo: Wikimedia Commons | ※イメージ:ノミハムシの一種 Altica sp.|新記載の新属 Medogia もハムシ科(ノミハムシ類)の甲虫で、メドク県固有。

中国科学院などの研究チームが、チベット高原南東部のメドク(墨脱)県を中心とする地域から、新属1・新種99・新記録53を記載した677ページの特別巻を Zootaxa に発表した(7月27日刊行)。新属 Medogia はメドク県固有のノミハムシの仲間。99の新種のうち62種がメドク、22種がチベット自治区の他地域、15種が中国の他省で見つかった。ヤルンツァンポ大峡谷が刻む標高差の大きいこの一帯は、亜熱帯から高山帯までが凝縮された“生物多様性のホットスポット”。よく調べられたと思われる甲虫ですら、まだこれだけの未知種が眠っていることを示す成果だ。Zootaxa に発表。

🔗 中国科学院(Zootaxa 特別巻 掲載)

2.

ヨーロッパにまだ眠る新種 ― モンテネグロの石灰岩から2種のカタツムリ、だが渓谷はダムの危機

陸貝・カタツムリ
モンテネグロ(ドゥルミトル国立公園)
2026年7月

近縁の Cochlostoma 属カタツムリ

Photo: Wikimedia Commons | ※イメージ:同属種 Cochlostoma septemspirale|新種 C. komarnica と C. dobrido もこの仲間で、殻長約6mmの円錐形。

ヨーロッパの陸貝相に、2種の新種が加わった ― Cochlostoma komarnica と C. dobrido。殻長わずか6mmほどの円錐形で、石灰岩の岩肌で藻類や地衣を食べて暮らす。多くの陸貝と違い目は触角の先ではなく頭の側面にあり、殻口を「扉」のように閉じる蓋(ふた)を持つ。誰でも参加できる市民科学プロジェクト Taxon Expeditions のチームが、2018〜2025年にドゥルミトル国立公園とコマルニツァ渓谷の踏査で発見し、地名にちなんで命名した。だが美しいコマルニツァ渓谷は水力発電ダムで水没する計画があり、研究者らは世界遺産への編入とダム計画の撤回を訴えている。Biodiversity Data Journal に発表。

🔗 Phys.org(Biodiversity Data Journal 掲載)

🧠 既知種の新たな発見・知見 ― 3選

3.

蛾の翅は「匂いを嗅ぐ」ことができた ― タバコスズメガの翅が産卵植物の匂いを感知

昆虫・スズメガ科
感覚生理・嗅覚
2026年7月

タバコスズメガ Manduca sexta

Photo: Wikimedia Commons | ※イメージ:タバコスズメガ Manduca sexta|翅の縁に、匂いを感じる多孔質の毛が並んでいた。

昆虫の翅は、風を感じたりメスの味を確かめたりと感覚器の宝庫だが、「匂いを嗅げるか」は分かっていなかった。マックス・プランク化学生態学研究所(ドイツ)は、タバコスズメガ(Manduca sexta)の翅の縁に、触覚毛に混じって多孔質の嗅覚毛(約80μm)が並ぶのを電子顕微鏡で確認。翅からは15種類もの嗅覚受容体のmRNAも見つかった。翅を電気回路につなぎ、さまざまな匂いを吹き付けたところ、反応したのはピロリジンとピペリジンという2つのアミン臭だけ ― どちらも、この蛾が産卵先に選ぶナス科植物の葉に含まれる独特の匂い成分だった。翅は、好みの植物へ卵を産みに導く“もう一つの鼻”を備えていたのだ。Journal of Experimental Biology に発表。

🔗 Phys.org(Journal of Experimental Biology 掲載)

4.

アンデスコンドルは「群れで飛ぶ」と最大41%も燃料を節約していた

鳥類・コンドル
集団行動・飛翔エネルギー
2026年7月

アンデスコンドル Vultur gryphus

Photo: Wikimedia Commons | ※イメージ:アンデスコンドル Vultur gryphus|世界最大級の飛ぶ鳥。上昇気流を乗り継いで長距離を移動する。

世界最大級の飛ぶ鳥アンデスコンドル(Vultur gryphus)は、羽ばたかず上昇気流に乗る「ソアリング」と滑空を繰り返して長距離を移動する。コンスタンツ大学は、餌がまばらで刻々と変わる風景の中でコンドルがどう省エネするかを、実際の飛行の物理法則に基づく“エージェントモデル”で再現した。すると、他個体の動きという「社会的情報」を使う鳥は、単独で飛ぶ鳥より少ないエネルギーで目的地に到達でき、予測しにくい環境では最大41%も節約できた。群れで飛ぶことは、効率のよい飛行ルートの手がかりを仲間の動きから読み取る戦略でもあったのだ。この枠組みはドローンなど自律ロボットの省電力航法にも応用が期待される。Journal of the Royal Society Interface に発表。

🔗 Phys.org(J. R. Soc. Interface 掲載)

5.

島の外来ネズミが「サンゴ礁の食物網」を書き換えていた ― 海鳥を減らし、勝者と敗者を生む

生態系・サンゴ礁
外来種・栄養循環
2026年7月

アークアイ・ホークフィッシュ Paracirrhites arcatus

Photo: Nick Hobgood / Wikimedia Commons | ※イメージ:小型の肉食魚アークアイ・ホークフィッシュ Paracirrhites arcatus|海鳥が豊かな島の周りでは、こうした小魚を狙う捕食魚が栄える。

船で持ち込まれた外来ネズミは、島の海鳥の卵や雛を食べて個体数を激減させる。海鳥のフン(グアノ)は外洋の栄養をサンゴ礁へ運ぶ“天然肥料”だ。ランカスター大学などはインド洋チャゴス諸島で、ネズミのいる島といない島の礁を比較した。ネズミのいない島は海鳥の密度が760倍高く、礁底に暮らす極小の魚(ハゼやトリプルフィンなど)の生物量が小型無脊椎動物の5倍以上を占めていた。ところがネズミがいる島では栄養が乏しくなって小魚が減り、代わりにカニやテッポウエビといった無脊椎動物が増えていた。食物網は「魚を介する経路」から「無脊椎動物を介する経路」へと組み替わる。海鳥を守ることは、サンゴ礁の食物網そのものを守ることだと分かった。Ecology に発表。

🔗 Phys.org(Ecology 掲載)

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